
令和2年度税制改正により、令和4年3月をもって連結納税制度が完全に廃止され、令和4年4月1日開始事業年度からグループ通算制度に移行します。

連結納税制度を利用していない中小企業にとって、
具体的に何が変わりますか?
このような疑問にお答えします。
本記事は、グループ通算制度への移行にあわせて、グループ通算制度を採用していない会社(一部単体納税制度)に影響がある改正点について解説します。
✓なお、本記事の対象は、中小法人で、法人株主又は個人株主を通して100%完全支配関係の親子会社、兄弟会社を保有している場合を想定しています。
グループ通算制度への移行に関する税制改正―中小企業の注意点解説

変更時期
2022年4月(令和4年4月)開始事業年度から変更です。
※会計事務所視点では⇒2023年3月(令和5年3月)決算法人から適用です。
具体的な変更点
法人税法のチェックポイントとして、以下を見ていきましょう。
- 貸倒引当金
- 寄附金
- 受取配当金
- 資産の譲渡に係る特別控除額の特例

貸倒引当金
中小企業については、法人が有する金銭債権に対し、その債権の区分に応じて、一定の金額を貸倒引当金として損金の額に算入することができます。
✓今回の通算制度への移行に関する改正点
令和4年4月1日以後開始事業年度から、 貸倒引当金の対象となる個別評価金銭債権及び 一括評価金銭債権について、「内国法人がその内国法人 との間に完全支配関係がある他の法人に対して 有する金銭債権」は、含まないことと改正されました。
つまり、グループ通算制度を適用していない企業グループ企業についても、中立性・公平性の観点から、 グループ通算制度の適用の有無に関わらず、完全支配関係 にある法人に対する金銭債権は、貸倒引当金の対象外 となりました。(法法52⑨二)(従来は連結グループ内のみ除外対象)
この改正は、納税者にとって貸倒引当金繰入限度額が減少するため、不利な改正といえます。
詳細はこちら、国税庁HP(貸倒引当金の繰入限度額計算における通算法人間の取扱)をご参照ください。
寄附金
寄附金の益金不算入制度では、損金算入限度額は以下により計算されます。
【資本金等の額×当期の月数/12×0.25%+所得金額×2.5%】×1/4
✓今回の通算制度への移行に関する改正点
グループ通算制度への移行にあわせて、このうち計算の基礎となる「資本金等の額」が、「資本金の額及び資本準備金の額の合計額」へ変更になりました。
受取配当金
受取配当等の益金不算入制度では、株式等の区分により、益金不算入額が下表のように計算されます。
| 株式等の区分 | 持株割合 | 益金不算入額 |
| 完全子法人株式等 | 100% | 受取配当金の全額 |
| 関連法人株式等 | 1/3超 | 受取配当金の全額ー負債利子額 |
| その他の株式等 | 5%超、1/3以下 | 受取配当金の50%相当額 |
| 非支配目的株式等 | 5%以下 | 受取配当金の20%相当額 |
✓今回の通算制度への移行に関する改正点
(1)関連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定は、完全支配関係グループ内の法人全体の保有株式数等により行うことになります(従来は連結グループ内のみ)。
完全支配関係グループ内の株式を合計して判定できるようになるため,納税者に有利な改正となります。
(2)関連法人株式等に係る負債利子控除額については、関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額となります。ただし、その事業年度に係る負債利子の額の10%相当額を上限とします。
なお、短期保有株式等の判定については、従来通り各法人ごとに行います
資産の譲渡に係る特別控除額の特例
収用換地等の場合(上限5,000万円)、特定土地区画整理事業等の場合(上限2,000万円)、特定住宅地造成事業等の場合(上限1,500万円)のような資産の譲渡に係る特別控除額の特例について、2以上の制度の適用を受ける場合の特別控除額は、各暦年を通じて年5,000万円が上限とされています。
✓今回の通算制度への移行に関する改正点
2022年4月1日以後開始事業年度においては、完全支配関係グループ内の各法人の特別控除額の合計額が年5,000万円を超える場合には、その超える部分の金額が損金不算入とされました。(従来は連結グループ内のみ)
補足:グループ法人税制の改正経緯について
令和2年度税制改正により、連結納税制度(企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算するなど、企業グループ全体を1つの法人であるかのように捉えて法人税を課税する仕組み)が廃止されグループ通算制度へ移行することとなりました。
連結納税制度は、平成14年度の導入から16年余りが経過し、企業グループの一体的経営を進展させ、競争力を強化する中で有効に活用されてきました。
その一方で、経営が多様化し親法人に情報などが必ずしも集約していない、連結納税制度の下での税額計算が煩雑、税務調査後の修正・更正に時間がかかり過ぎる、といった指摘があり、損益通算のメリットがあるにもかかわらず、制度を選択していない企業グループも多く存在していたことから、完全支配関係にある企業グループ内における損益通算を可能とする基本的な枠組みを維持しながら、上記問題点を解消するため、抜本的に法改正がなされました。
なお、現在連結納税を採用しているグループ企業について、何もしなければ、そのままグループ通算制度に移行します。
詳細はこちら、国税庁HP(グループ通算制度について)をご参照ください。
まとめ
今回は、グループ通算制度の利用がないグループ企業(単体納税)における、改正の注意点をまとめました。
ぜひ、ご参考になれば幸いです。
☆今回も、最後までお読み頂きありがとうございました☆


