医療法人の事業税のポイント【非課税計算・添付書類】

税務情報

【医療法人の事業税計算について】

医療法人と一般の事業会社とでは、税務上の取扱いが異なる点があります。
今回は、法人事業税にスポットを当て説明いたします。

医療法人の法人事業税のポイント4つ

(1) 社会保険診療報酬等に係る所得の非課税
社会保険診療報酬等に係る所得については非課税とされています。

具体的な申告方法は、

都道府県税申告書⇒所得金額に関する計算書(第 6 号様式別表 5)⇒非課税等所得欄⇒㉑「社会保険料等に係る医療の所得欄」に金額を記載して申告します。↓↓

(2) 税率の軽減
医療法人は事業税上の「特別法人」に該当し、軽減の対象となります。

具体的な税率については、所在地の県税事務所HPをご確認ください。
(例)東京都の場合は、こちら(東京都HP)をご参照ください。

事業税上の「特別法人」とは?・・・法人税法別表第三に掲げる協同組合等(農業協同組合、信用金庫等)及び医療法人を指します。

(3) 中間申告、予定申告が不要
確定申告税額の金額に関係なく、事業税の中間申告は必要ありません。

(4) 外形標準課税
外形標準課税の適用はありません。

次は、(1)に挙げた非課税となる「社会保険診療報酬等に係る所得金額」の計算方法について見ていきましょう。

社会保険診療報酬等に係る所得の2つの計算方法

(1)非課税となる「社会保険診療等の係る所得」の計算方法

計算方法は、以下の2つです。

1.経費配分方式
2.所得配分方式

(2)計算方法の指定【各都道府県ごと】

所在地の都道府県が、どの方法で計算することになっているかを確認する必要があります。

1.経費配分方式のみを採用・・(例)H27年以前の山形、静岡、沖縄
2.所得配分方式のみを採用・・(例)東京都 ほか
3.選択適用が可能・・・・・・(例)静岡県、山形県 ほか※選択適用が可能である場合は、有利な方法で計算できます。
※経費配分方式は、事務負担が大きい(計算が煩雑)ため、現在の主流は、所得配分方式です。

(3)経費配分方式について

経費配分方式は所得配分方式に比べ合理的な計算方法ですが、多少手間がかかります。

【計算方法】

課税所得= 総医業所得-社会保険診療分の所得(A)

 

(A)= 社会保険診療収入-社会保険診療に係る経費(B)

(B)= 社会保険診療の専属経費+共通経費×{社会保険分の医療収入/(社会保険分の医療収入+その他の収入金額)}

※内容は、経費を社会保険診療に係る専属経費と全体に係る共通経費に分けた後、共通経費を収入按分して課税所得を算定するイメージです。

(4)所得配分方式について

所得配分方式による事業税の計算方法はいたってシンプルです。医業所得を社会保険診療報酬とその他の収入の割合で按分するだけです。計算式としては以下の通りです。

【計算方法】

課税所得 = 総医業所得×その他の収入/(社保等診療収入+その他の収入)

 

【所得配分方式の注意点】

①税込経理を採用している場合(課税事業者に限定)
⇒消費税の非課税対象となる社保診療や利息、不課税である配当や補助金関係以外の自費診療などの収入には、消費税額が含まれてしまうため、合計して消費税額をマイナス表示控除額(△の数字)します。
(例:消費税額 △123,456)

②収入を細かく分類する必要があります。具体的に、
・社会保険分の医療収入に含めるもの
・その他の収入に含めるもの
・その他の収入に含めないもの(※そもそもの按分計算に含めない)
・別計算になるもの
とを、地方自治体HPの手引により確認が必要です。

③「課税標準となる所得金額(10)」欄の金額がマイナスである場合は、法人事業税における欠損金額となります。
法人税法第57 条による欠損金額が発生した場合には、按分計算の結果、法人税と法人事業税とではその金額(繰越額)に違いが生じます。繰越額については、第6 号様式別表9 を添付します。

添付書類

事業税の申告書には、以下の添付書類(例)の提出が必要です。

1 地方税法施行規則第六号様式別表
2 医療法人等にかかる所得金額の計算書
3 決算報告書(貸借対照表、損益計算書)
4 法人税申告書別表一(一)
5 〃 四
6 〃 五(一)
7 〃 五(二)
8 〃 六(一)
9 雑益、雑損失等の勘定科目内訳書
10 その他
(例)消費税の税込経理を採用している課税事業者の場合は、消費税申告など

※各都道府県ごとに添付書類の指定があります。(HPにてご確認ください。)

まとめ

今回は、医療法人の事業税申告について、非課税所得の金額の計算を中心に簡単にまとめました。ご参考になれば幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございました。