事業承継の税金対策(5方法)

事業主の方へ

本記事では、事業承継の税金対策について

5つシンプルにまとめます。

少しでもご参考になれば、嬉しいです。

事業承継の対策5方法

以下に、事業承継の税金対策について5つまとめたいと思います。

  1. 株価引下げ
  2. 暦年贈与
  3. 相続時精算課税制度
  4. 持株会社設立(ホールディングス)
  5. 事業承継税制(納税猶予→免除)

 

承継会社の株価引下げ対策


株価の引下げ方法の例(6つ)を挙げます。(評価は純資産価額方式によります。)

  1. 役員退職金
  2. 不動産の取得
    ・現金より相続税評価を低く抑えられます。
    ・取得後3年間は通常の取引価格で評価するため、不動産の評価差額を利用して自社株評価を下げるには、3年間待たなければなりません。
  3. 生命保険の加入
  4. 不良債権処理
  5. 含み損のある資産の処分
  6. 配当金

単純に、会社B/Sの純資産額を減らせば、株式評価が下がるという考え方です。

純資産価額方式とは、純資産価額方式とは、対象会社が解散した場合にその会社の株主へ分配される正味の財産価値で評価額を算定する方法です。

暦年贈与


暦年贈与とは、贈与税の基礎控除(年間110万円)を利用して、毎年毎年贈与を繰り返す方法です。長期に渡って贈与することで、相続税を見据えた場合のトータルの税負担を軽減することができます。

《要点をまとめます》

  1. 基礎控除(年110万円)を利用
    ・多くを移すには、年月が必要です。
  2. 基礎控除を超えた部分の金額に対して10%~55%の累進課税
  3. 相続税とは切り離して計算される
    ・ただし、相続税に含める期間※として、生前贈与加算に注意が必要です。
    (※2024年1月以降の贈与から、7年間に改正)
    ・生前贈与加算は、法定相続人に該当する場合が対象です。
    (孫や子の配偶者は対象外、ただし孫が法定相続人に場合は対象です。例:代襲相続人、孫養子)

相続時精算課税制度


相続時精算課税制度とは、相続人が相続した財産について、相続開始日時点での評価額と死亡時点での評価額との差額に対して課税する制度です。この制度により、相続人が相続財産を受け取った際に、相続財産が評価額よりも高い場合には相続税が課され、相続財産が評価額よりも低い場合には、相続人は相続税の還付を受けることができます。

《要点をまとめます》

  1. 特別控除額2,500万円を超えた部分の金額に対して、一律20%の税率
    ・2024年1月の贈与から特別控除額2500万円に基礎控除(年110万円)が追加できます。
  2. 相続税の計算時に精算(合算)
  3. 選択の届出(税務署)が必要
    ・選択を開始した年の翌年3月15日までに提出が必要です。
  4. メリット
    ・値上がり資産の場合は、贈与時の時価で評価されるため有利です。
    ・2024年1月以降の贈与から、年110万円までなら、相続税も贈与税もかかりません。(贈与税の申告も不要になりました。)
  5. デメリット
    ・一度選択すると、相続時まで継続適用です。(途中、暦年贈与は選択出来なくなります。)

持株会社設立(ホールディングス化)

  1. 後継者が新会社を設立し、銀行からお金を借りて、先代経営者が保有する株式を取得(子会社化)する方法です。《要点をまとめます》・先代経営者が新会社へ株式を売却(時価相当にて)するため、所得税が発生する。
    (計算例 売却代金-取得費(実際の出資金額と売却代金の5%相当額の高い方)に税率(所得税15.315%+住民税5%=20.315%)が発生する
    ・さらに、残った現金は相続税の対象となる
    ・現預金に対する相続対策があれば良い(保険など)
    ・新会社(持株会社)は借入金の返済原資として、子会社から配当金を受ける又は子会社から管理費を貰う必要がある。※子会社が赤字(利益処分できない)で配当金の支払が出来なくなった場合も想定しておく。
    ・新会社(持株会社)の存在意義が節税目的だけの場合、会社維持の負担が将来に残ってしまう。
  2. 株式交付制度(令和3年3月施行)
    株式会社が他の株式会社を子会社する際に、自社株を対価として交付する方法です。《要点をまとめます》
    ①先代経営者が新会社へ株式を売却する際の譲渡について課税繰り延べ
    ②新会社も自社株を対価として子会社株式を取得するため、資金調達の負担が軽減
    ・①について、2021年税制改正
    個人が、その有する株式を発行した法人を株式交付子会社とする株式交付により、その所有する株式を譲渡し、その株式交付に係る株式交付親会社の株式の交付を受けた場合には、その所有株式の譲渡はなかったものとみなされます。
    ・これまで、買収される会社の株主は、実際は買収会社の株式を取得しただけで、キャッシュがない状況でも売却益相当額に課税がされていた→自社株対価とするM&Aの障害になっていた→買収する会社の株主に対する課税を繰り延べる(実際の譲渡時まで)特例措置ができた。
    ・メリット
    持株会社が保有する事業会社の株式を評価する際、株式取得後の事業会社の株価上昇分について、含み益の37%控除が可能
    (評価差額に対する法人税相当額】
    ・デメリット
    ①ともとの株式が新会社の株式に変わっただけなので、新会社の保有資産負債が子会社株式の他になければ、相続税の節税効果は不確定要素が多い。(ホールディングスの株価対策があれば良い)
    ②持株会社の存在意義が節税目的のみ場合は、経済的合理性がないため、税務上の否認を受ける可能性がある。

事業承継税制(納税猶予→免除)


事業承継税制は、企業の承継を円滑に進めるために、相続税や贈与税の税負担を軽減する制度です。具体的には、事業を継承する後継者が相続税や贈与税を支払えない場合に、納税猶予などの方法で税負担を軽減することができます。

  1. 届出・期限
    ①2024年3月末までに特例承継計画を作成し、都道府県知事の認定を受け、2027年12月までに贈与を行う。
    ②承継後5年間、都道府県と税務署に毎年、年次報告書・継続届出書を提出、6年目以降は3年毎に継続届出書を提出
  2. 要件
    ①会社要件…中小企業要件(資本金・従業員数)、業種など
    ②先代経営者要件
    ・贈与前に代表取締役を辞任していること
    ・相続・贈与時に筆頭株主であること
    ③後継者要件
    ・贈与前に成人であり、贈与の3年前までに役員に就任していること
    ・相続・贈与後に代表取締役・筆頭株主として5年間経営すること
    ・相続・贈与後に5年間株式を継続保有すること
  3. デメリット(取消事由)
    ・後継者が一株でも持株を売却した場合は、猶予された贈与税・相続税は利子税を付けて一括納付しなければならない。
    ・報告書の提出を怠った場合も、取消事由に該当

まとめ

中小企業の事業承継は、なかなか手ごわい問題です。
堅実経営に経営された会社ほど、利益も積み上がり、株価評価も上がってしまいます。事業承継税制は、取消事由該当などの将来リスクもあるため、実際の利用はそれほど進んでいないと感じます。中小企業の場合、株式を売って納税資金にすることは出来ないので、どうやって納税資金を確保するのか、また、少しでも税負担を軽減する方法はないのかを、充分時間を掛けた上で検討するのが大切と感じます。

この記事が、少しでもご参考になれば幸いです。